最近、体重計に乗ったのはいつですか?太ってきているのは自覚しているが、 体重の把握ができていないというは要注意。「肥満は万病のもと」という言葉がありますが、 肥満の状態は精液の質にも影響してしまうということがわかってきました [1]。 精液を良い状態に維持するには、体重を適正範囲にすることはとても大切です。 今回は、最新の疫学研究の報告をもとに、肥満の状態がなぜ精液の状態を悪くしてしまうのか、 また、おすすめのダイエット方法をお伝えします。
精液の質UPのためのベスト体重を確認してみよう!
自分の今の体重が不妊の原因になっていないか、把握できていますか?
肥満の場合、精液の状態が悪くなり、生殖能力が落ちてしまう可能性があることが報告されています[1]。肥満か否かの判断に、BMIの計算式を用いて把握することが出来ます。 BMIは、[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出される国際的に用いられている指数です[2]。 BMIが25以上だと、減量を試みる必要性がでてきます。
BMIが25の場合の体重を計算してみて、今のご自身の体重が肥満傾向にないかを確認してみましょう。
~BMIが25の体重の求め方~
例)身長170センチメートルの方の場合
1.7×1.7×25=72.3kg
肥満が精液に悪影響を及ぼしてしまう理由とは
肥満は、体内に脂肪細胞が多く蓄積されている状態です。 脂肪細胞は、以前は単なるエネルギーの貯蔵庫として考えられていました。 しかし、脂肪細胞からアディポサイトカインと呼ばれる様々な生理活性物質を分泌することがわかり、精子形成にも悪影響を及ぼす生理活性物質が分泌されている可能性があるとされています。
また、肥満の男性は精巣の周りにも脂肪が多いため、精巣に熱がこもりやすく、 適正体重の人に比べて、精巣の温度が下がりにくいとされています。 精子を作る働きは、熱に弱いために精巣の温度からの影響を受けてしまっていると考えられています [3]
ダイエットを成功させるためのおすすめの方法3選!
(1)朝起きたら体重を測り、グラフ化しよう
起床してすぐに体重を測ると、その日1日の行動を決める基点となるとされています。 朝に計測しておくと、その日一日の食事や活動に、体重を増やさないようにしよう、 減らそうという意識が保ちやすくなりますね。 ダイエットには痩せようとする意識を継続的に持つことがとても大切になるので、 まずは起きて、トイレを済ませたらすぐに計測するという習慣をつけると良いでしょう[2]。
測っても数値を忘れてしまう、メモするのが億劫と思われている方は、 測った体重とアプリが連動して、グラフ化してくれる体組成計も販売されているので、 利用してみるものおすすめです。
(2)摂取エネルギーを減らす方法を考えてみよう
水を飲んでも太るという方もいらっしゃいますが、 体重が増える原因は日々摂っているエネルギーの方が消費しているエネルギーよりも 多くなっているからです。
・夕食に満腹まで食べていたのを腹八分までにする。
・甘いものを食べたくなったら、お菓子類→果物やフローズンフルーツにする
・揚げ物の回数を減らす
など普段の食事を振り返り、摂取エネルギーを減らす工夫をしてみましょう[2,4]。
(3)積極的に食物繊維をとろう
食物繊維の摂取量が多いと体重が減りやすくなるとされています。 最も体重が減りやすいとされる食物繊維量は、25~29gです[2]。 30~49歳男性の食物繊維量の平均値は18.3gとなっており、 意識して摂らないと不足傾向にあります[5]。 食物繊維は肉や魚などの動物性の食材にはほとんど含まれず、植物性の食材に含まれています。
・毎食に野菜や海藻、きのこのおかずを必ず1品以上食べるようにする
・おつまみに枝豆やナッツなど食物繊維の含まれているものにする
・主食を玄米ごはんや麦ごはん、胚芽ごはん、全粒粉パン、ライ麦パンなどに置き換える
など、無理なくできる方法で食物繊維を増やすようにしましょう[6]。
妊活を良い機会に、ダイエットを始めよう
20~40歳代は、仕事も忙しく、自身の健康状態に目を向けることなく過ごしてしまいがちです。 子どもを思うように授かれないことは辛い経験ですが、 自分の健康状態に意識を向ける良い機会かもしれません。 BMIが25以上でも、体重が減ることで精液の状態は良くなる可能性があります。 焦らずにできることから始めていきましょう。
【参考文献】(すべて2024年6月30日閲覧)
[1] Service CA, et.al. The impact of obesity and metabolic health on male fertility: a systematic review. Fertil Steril. 2023 Dec;120(6):1098-1111.
[2] 日本肥満学会, 肥満症治療ガイドライン2022
www.jasso.or.jp/contents/magazine/journal.html
[3] Katib A. Mechanisms linking obesity to male infertility. Cent European J Urol. 2015;68(1):79-85.
[4] 厚生労働省, e-ヘルスネット,健康的なダイエット, 適切な体重管理で健康づくりをしよう!
[5] 厚生労働省, 国民健康栄養調査(令和元年)
[6] 厚生労働省, e-ヘルスネット, 食物繊維の必要性と健康
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