Interview

穏やかな口調と、優しい笑顔が印象的な玲里さん。
管理栄養士として、病院での生活習慣病の方にむけての食事相談や栄養に関する執筆活動、大手企業とお仕事をしながら、自宅サロンで美容と健康はもちろん、不妊や体調に悩む人々にむけて、ひとりひとりの体質や生活に合わせたパーソナル栄養指導を行ったり、料理教室を開催したりと幅広く活動している素敵な女性。

お話を伺ってみると、穏やかで柔らかな雰囲気の中に、これまで積み上げてきた管理栄養士としての膨大な知識と確かな経験、お仕事に対する誇りと責任感が見えてきました。

それぞれの食生活には、それぞれのストーリーがある

玲里さんが「食」に関わるうえで大切にしていることを教えてください。

いつくかあるんですが、「ストレスを溜めない」ということがとても大切だと考えています。
管理栄養士として多くの方々の食生活に関わらせていただいて、気付いたことがあるんです。
ものすごくストイックに食に関して取り組んでいる人が、若くして急に病気になったり亡くなったりしてしまうことが多々あって、一方で食に偏りがなく、そして強いこだわりがなく、おおらかに笑って暮らしている人のほうが健康的に平均寿命を全うしたりしている事実。

私たちはなんのために「食」に気を遣うのか。
それは、健康で幸せに生きていくためですよね。

それなのに、なにか型にはまった食生活を続けること、例えば決められた範囲の食材だけを口にするとか、陰と陽のバランスを取ることをストイックに続けていくことで、いつの間にかその食生活を守ること自体が目的になってしまう、ということがあるんです。

食事というのは本当に毎日、しかも平均的には一日3度のことなので、その食事に「こうでなくてはならない」とか「こうしなくちゃ」みたいなストイックな縛りや決まりがあるって、実はものすごくストレスを感じる原因になり得る。
そして、ストレスというものは身体にも心にも絶対に良くない。

なので、栄養管理も調理法も、できるだけストレスを感じないやり方を探します。

ストレスを感じないために、どんな工夫をしていますか?

簡単で、シンプルであること。

昔は「ケの日、ハレの日」という考え方があって、特日な日に特別なお料理を食べるという食生活が一般的だったけれど、良くも悪くも便利になった現代では、いつでも好きなものを食べることができる。
でもね、私はこの「ケの日、ハレの日」という考え方がすごく好きで、特別な日に大切な人と特別なものを食べるというそのシチュエーションが、幸福感に結びついてくると思うんです。
毎日の食生活のベースが整っていれば、ハレの日にはハメを外しても大丈夫。
私が伝えたいのは、この「ベースを整える」という部分で、それは日々積み重ねていくものなので、選ぶ食材も調理法も、できるだけシンプルで簡単に、ストレスなく続けられる方法を大切にしています。

あと、これはパーソナル栄養管理で個々に合わせて深く配慮していくことが必要ですが、それぞれの生活に合わせた無理のない範囲で食のベースを整えていくこと。

その人の食生活には、その人のストーリーがあるんです。
例えば 甘いものを食べて幸せだった記憶がある人にとって、甘いものは幸福感と密につながっている。
そういう人に「甘いものはダメ」と言ってしまうと、幸福感まで奪うことになってしまう。
だから、チョコレートよりはフルーツを選んだ方が良いとか、おやつに甘いものを食べてもいいけど、その分食事の中で摂取する糖分を減らす工夫をしたりだとか。そういうふうにして帳尻合わせをしていく。
そうすることでストレスなくベースを整えていくことができるんです。

…なんか、私にもできそうな気がしてきました(笑

そんなに難しいことじゃないと思います(笑
正しい知識とちょっとした工夫が必要なだけで。

ただ、食に関する情報も様々なものが溢れかえっている現代で、その中にはメディアによってコントロールされたものや、偏ったものもあるので…
そういう情報に惑わされることなく、自分と丁寧に向き合って、食のベースを整えることで体調や体質が変化していく様子を感じ取ってもらいたい。それも私が大切にしていることのひとつです。

例えばお通じが滞っているとか、逆におなかがゆるいとか、肌荒れがひどいとか、女性だったら生理痛がツライとか。そういうのは全部、身体からの「食べ物があっていないよ」というメッセージだと私は思っています。
自分の身体にあった食生活に変えていくと、身体はちゃんと応えてくれる。
まだ小さなサインのうちに、身体の不調に気が付いて改善していくことで大きな病気を防ぐことができたり、健康的に毎日を送ることができるようになります。

まずはベースを整えること

「食のベースさえ整ってれば、例えば市販の複合調味料なんかで炒めるとかも全然OKです。」
にこやかに発せられた言葉に、私のほうがびっくりしてしまいました。
「え、それもOKなんですか?!」

私は良いと思います。もちろん、無農薬の野菜やこだわりの調味料なんかは栄養価も高く、健康的で味も良く、素晴らしいのでぜひ使っていただきたい。でも、それは次のステップです。
最初からあれもこれもってなると、ハードルが高くなるじゃないですか。それこそストレスにもなりかねない。
細かい部分を気にするより、まずはベースを整えること。そうすることで食に関する意識も変わってくるだろうし、そうなったら自分なりに良いものを選んでいけばいい。もっと気軽に簡単にできることから、始めてもらいたいんです。



「栄養管理」とか「食の改善」とかいう言葉を聞くと、なんだか身構えてしまいがちだったけれど、もっと気軽に最初の一歩を踏み出してみると良いのかもしれない。
玲里さんのお話を伺っていると、そんな気がしてきました。

>>そんな玲里さんが提唱する「地中海式和食」とは。

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